かつてTCGプレイヤーだった人達へ布教したい
同世代の人は多かれ少なかれカードゲームの流行に触れていたと思う。
遊戯王、MTG、ポケカ。今も尚人気のカードに加え、当時は金色のガッシュやシャーマンキングのカードゲームにも手を出していた。外で運動するか、家でゲームするか、外でも家でもできるカードゲームで遊ぶか、みたいな選択肢で毎日過ごしていた。風に飛ばされたカードを追いかけるのもいい運動になっていた気がする。
大人になってもカードゲームの楽しさを思い出し、何度か買って始めてみたこともあった。しかし、きちんとレギュレーションに沿って遊ぶには買い続けなければならないのと、頻繁に遊べる友人が近くにいない、やるなら大会とかもチラつくなどハードルが高く、趣味の選択肢からは長いこと外れていた。
思えば大学時代とか、食堂でカードゲームやってる層がいたけど、結局そういうコミュニティには属せなかったなと少し後悔してる。
そんな中見つけた、コンパイルという二人用のボードゲームがカードゲームの体験に近く、ちょうどいい落としどこだったので布教したい。
Contents
1箱で完結する、不正AI同士のハッキング合戦
このゲームの何よりの魅力は、追加のパックを買う必要がなく、1箱で体験が完結していること。
1箱買えば二人で遊べる。そしてデッキのバリエーションは200通り以上ある。
もちろんシナジーコンボできる組み合わせはもっと少ないので、プレイヤーのレベルが煮詰まってくると実際に戦えるデッキは限られてくるが、それでも元が取れるくらいには何度も遊べる。

設定は不正AIたちが現実を自分たちの望む姿に書き換えるため、3つの概念(プロトコル)を競ってハッキング(コンパイル)していくというもの。
カードにはキャラクターは一切書かれていない。このソリッド感があんまり他のボードゲームにはないなと思っている。
少しルールを説明するとプロトコルという名のカードが12種類あって、そこから各プレイヤーは3つずつ選んでデッキを組んで始める。
プロトコルにはそれぞれ6枚のコマンドカードがあるので、デッキの枚数は固定で18枚。
18枚。TCG経験者なら少ないと思うだろう。この少なさで遊べるのも驚いたポイントだった。
自分で選んだ3つのプロトコルを相手よりも先にコンパイル(裏返し)したら勝利という一見するとシンプルゲーに思える。
そのコンパイルの条件も「10点以上、かつ相手よりも多い数」を貯めるというもので、如何に相手を邪魔しつつ点数を貯めていけるかというのが大枠のルールとなる。
ちなみに18枚という少なさで戦略に奥行きを出すために、各コマンドカード(実際にプレイするカード)の効果は上・中・下段の3段に分かれていて、この設計がかなりゲームを面白くしている。
あと開発者は少ない枚数でMTGの様な深い戦略のゲームはできないか、をスタートに作り始めたらしいので、その設計思想もかなり刺さった。
プロトコルの組み合わせで自分のスタイルを貫く楽しさもある
先ほども書いたが、このゲームには特定の「キャラクター」は登場しない。
代わりに扱うのはPsychicやSpiritといった概念(プロトコル)だ。
プロトコルはその名にちなんだ効果を持っている。
例えばMain02という商品にはCHAOSというプロトコルがある。
本来置けない場所にCHAOSのカードを置けたり、毎ターン相互のデッキからカードを引き合う、つまり相手のカードでプレイできるようになるなど、文字通り盤面をカオスにする。
こういった効果とシナジーを生むプロトコルを選んでデッキを組むのか、それとも内容よりもスタイル重視のStyle Over Substance的なロールプレイを貫くのか、煮詰まらないうちは後者のようなプレイも十分楽しい。
プレイ中確認するとが多いのでフィジェットを作った
どのカードゲームもそうだが、各プレイヤーはターンごとにできること、その順番が決まっている。
このゲームも同じだが、カードの効果が3段に分かれていることで、その順番を無視してゲームを進めようとするとカードの効果をどう処理すればいいのか、タイミングがわからなくなってしまうことがあった。
また、効果を処理しなければならないタイミングで処理し忘れることがちょいちょいあったので、物理的に確認できるものを作った。

プログラミングの工程をこなすように、上から順番にスライダーを左から右へ一つずつ移動させていく。
ルール上コンパイルとAction or Refreshは同ターンに行えないので、そこだけはシーソーの様になっていて、同時に右へスライドできない仕様にした。
あとは下まで処理したら、エンドバーを上下で掴んで左に戻せば、そのターンにできる行動が終わったとわかるというもの。
これでフローを飛ばさずにルール通り遊べるようになった。
※こちらのモデルは公開しているので、コンパイルユーザーで印刷できる環境がある人は使ってみてください。
二次配布や販売は禁止で、アレンジは自由にしてもらって構いません。
(というか素人設計なので、もっときちんと作れる人いたらより良いバージョンを作ってほしい。)
今までBlenderで雑なモデリングをしていたが、今回初めてFusionというソフトを使って、正確に寸法を測ってモデリングした。これ作ってたらGW終わった。
あとは他のユーザーが作ったもののアレジンだけど、カウンターも作った。

基本的には場に出ているカードの数字を数えればいいのだけれど、いくつかのカードは手札や、相手の場に出ているカードの数によって数字を追加するという効果があり、気づかずにコンパイルできる数字になっていたというプレイミスもあった。
こういったミスを防ぐために、一応カウンターを用意した。
また、プレイ前の準備や片付けによるカードの管理が大変だったので、いま出ている全プロトコルの仕切りも作った。
文字は正直読みづらいが、できるだけミニマルなものにしたかったので、読めるギリギリのラインで設計。
カードの管理に困っている人がいたらこちらも使ってみてください。

ギリギリ読める感じ

これらのアイテムはどれもカードサイズと同じくらいなので、汎用的なデッキケースにも入るはずです。
二人だけのメタゲームを育てるということ
まだゲームをやり始めて日が浅いが、あえて強力なコンボをネットで調べないようにしている。
というのも、今の自分の対戦相手は、妻だ。物理的に集まって遊ぶことが難しい年齢になると、身近な相手と同じ熱量、同じ知識量で遊べるかどうかが、ゲームを楽しめるかどうかの分岐点になる。
仮に知ってしまったコンボはなるべく共有して、二人で足並みを揃えて研究していく。そうやって二人だけのメタゲームを育てて楽しんでいる。
今後デジタル版も出るかもしれないが、どうだろうなという気持ち
公式ディスコードサーバーには詳細は2026年第2四半期に発表予定とある。
おそらく数年以内にはアプリ版が出るんだろうと予想。
ただ、これがリリースされてもやるかなあという気持ちが大きい。
というのも、カードゲームのアプリは散々出たし、結構触っていたのだが、結局今はひとつもやっていない。
シャドバ、ハースストーン、遊戯王などメインストリート的なものは一応触っていたけど、やっぱり物として所有していないというのが味気ないなと感じる。
デジタルだけど奥行きや立体感を出して、より所有欲にフォーカスしたポケポケですらやらなくなってしまったし。
そういえばドミニオンというハチャメチャに面白いボードゲームもデジタル版触ったけど、これも結局やらなくなってしまったな。これは3人以上じゃないとあんまりおもしろくないのも大きいが。
所有していないのと、あとはゲームの勝ち負けにどこまでこだわるかも重要な気がしていて、デジタル版は勝敗が全てというか、それ以外のコミュニケーションが排除されていることが多いので、ガチ感が強い。
カードゲームは全て運要素が絡んでくるのに、デジタル版になると佇まいが将棋や囲碁みたいな完全情報ゲームっぽくなる。
理想はゲーム中や終わったあとになんでもない会話をしたり、検討まではいかなくてもフワッとプレイングを振り返ったりしたい。
でもデジタル版だと意外と難しい。ディスコードの通話など使えばそれなりに近い体験になるはずなんだけど、ここはカードを所有しているという感覚とセットで初めて楽しさが生まれてると思う。
ゲームは終わるが、それは世界の始まりでもある
ゲームが決着し、3つのプロトコルがコンパイルされた瞬間。
それは勝ったAIが世界を作り終えた瞬間でもある。
終わりと同時に始まるのがなんともドラマチックでいいなと思う。
少しでも面白さが伝わってくれればいいけど。TCG経験者にはぜひ触ってもらいたいゲームです。










