かつて大学の講義で一度見たことがあって、心の中では「はぁ~いい映画だな~」と思ったんですけど、当時の僕は「大学の講義で見せられた映画で感動したくないっす」というアホが発動していてこの映画への感想に蓋をしていました。
最近ふとそのことを思い出して「レンタルして見よう」くらいまで気持ちが高まったので見てみたところ、最で高な映画だったので見てない人がいたら是非見てほしいです。
この映画、ざっくり説明すると家族の話です。
家族の話なんですけど、家族に対してあまり良い印象を持っていない人でも楽しめると思います。
むしろそういう人にお勧めしたい作品です。
あらすじ
フーヴァー家の娘のオリーブがミスコンへ参加するために、家族みんなで遠く離れた会場へ向かう道中にいろいろあるロードムービー。
オリーブ含め、この家族のメンバーが全員難ありで、「人だなあ」と感じる部分があたくさんあります。物語のために用意された人物っぽい美しさがないところが泥臭くていいです。
登場人物(フーヴァー家)
リチャード 父
勝つことにこだわって負け犬を嫌う人で、その思想を家族との日常会話でもガンガン出す人。
シェリル 母
フーヴァー家の中ではバランサー的立ち位置にいるが、感情的になる場面も多い。
フランク 叔父
シェリルの兄。
自殺未遂をしてしまい、療養のためにフーヴァー家に居候することになる。
恋愛対象は男性で、フランスの小説家マルセル・プルースト学者。
ドウェーン 息子
友人0人の15歳。
夢はパイロットで、哲学者ニーチェに刺激を受けて自ら喋ることを禁止している。
良い感じに目が死んでいて、僕がこの映画で一番好きなキャラクター。
ちなみにリチャードは実の父親ではなくて、シェリルの再婚相手。なのでドウェーンのリチャードへの対応も見どころあり。
オリーヴ 娘
本作の主役。
ミスコンの予選を通過した、見た目は大きめの眼鏡にぽっちゃりボディの女の子。
エドウィン 祖父
口が悪いおじいちゃん。ヘロイン常用者、老人ホームを追い出されて家族と一緒に暮らしている。
孫娘のオリーブとは仲良し。
心温まる負け戦
このてんでバラバラの方向を見ている家族が、一発逆転なんて起こりっこないミスコンへ向かいます。完全に負け戦です。
道中では言い合いもガンガン起こります。
祖父のエドウィンが友人もいない15歳のドウェーンに向かって「お前女を抱いたことはあるか? とにかく大勢の女を抱け」と豪語したりもうメチャクチャです。
そんな「もう崩壊しかけてるじゃん」って家族でも車が壊れりゃ全員で押すんです。
一緒に目的地へ向かっていく中で険しかった表情がちょっと柔らかく見えたり、黙って協力したりするシーンがさりげなくあって、この6人の機微を探しながら見てほしいですね。
ネタバレ込みで好きなシーン
以下ネタバレ入るので、映画を見てから読んでください。
オリーブ置いてかれる
休憩中にリチャードは契約白紙にされシェリルと口論になり、フランクは元恋人と遭遇して忘れてたショックを思い出したり、完全に別方向を向いてる中で車を出発させたらドウェーン以外オリーブが車内にいないことに気づかなかったシーン。
みんな自分の事しか考えてなくて娘に気付かないのは笑えるシーンにも見えるけど、僕は結構悲しくなりました。
I Hate Everyoneを力強く書いていたドウェーンが最初に気付いたところにグッときますね。
幼いオリーブも実は空気読んでるしおじいちゃんだけに心開いてる
オリーブは序盤から空気の読めない節があって、あまり周り見えない子なのかな?と思って見てると、実はちゃんと考えていて、父の「負け犬はクソ」思想もぶっ刺さっていてきちんと怯えているのがかわいい。
悩みもおじいちゃんにだけ打ち明けるのがまたいいですね。
この映画は全編通して人物の心情ってきちんと描かれていないと思うんですけど、このシーンは本音って感じがしますね。
ドウェーンがオリーブを抱っこするとこ
色弱が発覚して傷心しきってるドウェーンを介抱しに行ったオリーブと車へ戻る最中、ちょっと坂道を上るのに手こずったオリーブをドウェーンが後ろから抱っこして上るシーン。
なんだかんだ言ってもお兄ちゃんだね・・・とドウェーンを産んだ母みたいな気持ちになります。